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ゲーム用語特集:Unreal Engine編|ゲーム・IT業界に強い人材会社|株式会社STAND|スタキャリテック

Unreal Engineは、Epic Gamesによって開発された世界有数のゲームエンジンであり、その圧倒的な表現力と汎用性の高さから、AAAタイトルをはじめとする多くのゲーム開発現場で採用されています。 1998年の登場以来、数度のメジャーアップデートを経て進化を続けており、現在の最新バージョンであるUnreal Engine 5では、映画のようなリアルな映像表現が可能な革新的技術が多数搭載されています。 本記事では、Unreal Engineの特徴や技術的な強み、ゲーム制作における活用方法、さらには開発現場での使われ方まで、幅広く解説していきます。 初心者からプロフェッショナルまで、多くの開発者に支持される理由を探っていきましょう。
目次

Unreal Engineとは何か?

Unreal Engineはアメリカのゲーム開発会社Epic Gamesが開発・提供している世界的に有名なゲームエンジンです。
1998年に誕生して以来、現在までに5回のメジャーアップデートを経て、最新版であるUnreal Engine 5は2021年に正式リリースされました。
元々はFPSゲーム「Unreal」のために開発されたエンジンでしたが、その高い汎用性とリアルな表現力からさまざまなジャンルのゲーム開発に利用されるようになりました。

Unreal Engineの最大の特徴は、そのビジュアル表現力の高さにあります。
現実世界の光の反射や物理的な動きを精密に再現する技術を搭載しており、映画のようなリアリティのあるグラフィックスを実現することができます。
特に最新のUnreal Engine 5では、Naniteと呼ばれる仮想化ジオメトリシステムとLumenと呼ばれる動的グローバルイルミネーションソリューションという二つの革新的技術により、かつてないほどの細部にわたるリアルな映像表現が可能になりました。
また、Unreal Engineはマルチプラットフォーム対応という特徴も持っています。
PC、PlayStation、Xbox、Nintendo Switch、モバイルデバイス、VR/ARなど、ほぼすべてのプラットフォームに対応しており、一度開発したゲームを異なるプラットフォームへ比較的容易に移植することができます。
これにより、開発者は幅広い層のプレイヤーにリーチすることが可能になります。

ゲームクリエイターとUnreal Engineの関係

Unreal Engineはプロフェッショナルなゲーム開発スタジオだけでなく、個人開発者やインディーゲーム制作者にも広く利用されています。
その理由の一つが、Epic Gamesの柔軟なライセンスモデルです。
Unreal Engineは基本的に無料で利用することができ、商用利用の場合は一定の売上を超えた時点でロイヤリティを支払う形式になっています。これにより、資金力に乏しい小規模開発者でも高品質なゲームを制作するチャンスが生まれています。
ゲームクリエイターにとって、Unreal Engineの魅力は単にグラフィックスの美しさだけではありません。ブループリントと呼ばれるビジュアルスクリプティングシステムの存在も大きな特徴です。
プログラミングの知識がなくても、視覚的にゲームロジックを構築できるこのシステムにより、アーティストやデザイナーでもゲームメカニクスを実装することが可能になっています。
これによって、チーム内の連携がスムーズになり、アイデアをより迅速に形にすることができます。
また、Unreal Engineには豊富な学習リソースとコミュニティサポートが存在します。
公式ドキュメントや動画チュートリアル、サンプルプロジェクトなどが充実しており、初心者でも学びやすい環境が整っています。
さらに、世界中の開発者が集まるコミュニティフォーラムでは、疑問点を質問したり、知識を共有したりすることができます。

Unreal Engineを使用するメリットとデメリット

Unreal Engineを使用する最大のメリットは、前述した高品質なビジュアル表現力です。
リアルタイムレンダリング技術により、映画並みのクオリティをインタラクティブなゲームで実現することができます。
特にライティング、シャドウ、パーティクルエフェクトなどの表現は他のエンジンと比較しても非常に優れており、アーティストの表現したいビジョンを忠実に再現することが可能です。

次に、豊富な機能とツールセットがあります。
物理演算システム、AIナビゲーション、オーディオシステム、ネットワーク機能など、ゲーム開発に必要な要素がほぼすべて揃っています。
さらに、マーケットプレイスを通じて、サードパーティ製のアセットやプラグインを入手することもでき、開発効率を大幅に向上させることができます。
また、前述のブループリントシステムにより、プログラミングの専門知識がなくてもゲーム制作が可能である点も大きなメリットです。
これにより、チーム内の異なる専門性を持つメンバー間のコラボレーションがスムーズになります。

さらに、C++による直接的なプログラミングも可能であるため、必要に応じて細かい最適化や拡張も行うことができます。
ただ、やはりプログラミングができる人材の方がより汎用性や拡張性があり、求人ではブループリント経験のみは不可となるケースが多くなってきています。

一方で、Unreal Engineにはいくつかのデメリットも存在します。
まず、高性能なグラフィックスを実現するための要件として、開発に使用するPC自体のスペックが高く求められる点が挙げられます。
特に大規模なプロジェクトを扱う場合、高性能なCPU、GPU、大容量のRAMが必要になることがあります。

また、初心者にとっては学習曲線が急である点も課題です。
インターフェースの複雑さやC++の知識要件など、完全に使いこなすまでには相当の時間と努力が必要です。
特にUnityなどの他のエンジンと比較すると、入門のハードルが高いと感じる開発者も少なくありません。

さらに、モバイルゲーム開発においては、Unreal Engineの高機能さがときに裏目に出ることがあります。
デフォルト設定のままでは最適化が不十分で、モバイルデバイスの性能制限に合わせた調整が必要になることが多く、その最適化作業に多くの時間を要する場合があります。

Unreal Engineを用いたゲーム制作の流れ

企画から開発までの工程

Unreal Engineを使ったゲーム開発は、通常、企画立案から始まります。
この段階では、ゲームのコンセプト、ストーリー、ゲームプレイメカニクス、ターゲットプラットフォームなどの基本的な要素を決定します。

企画が固まったら、次にプロトタイピングの段階に移ります。
プロトタイピングでは、Unreal Engineのブループリントシステムを活用して、ゲームのコア機能を素早く実装します。
この段階では見た目よりも機能性を重視し、ゲームプレイの面白さを検証することが目的です。
プロトタイプを通じて得られたフィードバックを基に、必要に応じて企画を修正します。

プロトタイプが成功したら、本格的な制作フェーズに入ります。
まず、レベルデザインでは、Unreal Editorのレベルエディタを使用して、ゲームの舞台となる3D空間を構築します。
基本的な地形や建物の配置から始め、徐々に細部を作り込んでいきます。
同時に、アートチームはキャラクター、環境、エフェクトなどのビジュアル要素を制作します。
Unreal Engineは業界標準の3DCGソフトウェア(Maya、Blender、3ds Maxなど)とのパイプラインがしっかりと確立されているため、外部で作成したアセットを簡単にエンジンに取り込むことができます。
サウンドデザインも重要な要素です。
Unreal Engineには強力なオーディオシステムが搭載されており、環境音や効果音、BGMなどを適切に配置し、臨場感のあるサウンドスケープを構築することができます。

これらのアセットがそろったら、ゲームロジックの実装を行います。
前述のブループリントシステムやC++を使用して、キャラクターの動き、敵のAI、アイテムの効果など、ゲームの核となる部分を作り上げていきます。

開発の後半では、最適化とバグ修正に多くの時間が費やされます。
Unreal Engineには強力なプロファイリングツールが搭載されており、パフォーマンスのボトルネックを特定し、改善することができます。
また、多くのプラットフォームでテストを行い、各環境での動作を確認します。

最終段階では、ゲームのポリッシュを行います。
UIの洗練、チュートリアルの追加、バランス調整など、プレイヤーエクスペリエンスを向上させるための細かい調整を行います。そして、品質保証(QA)テストを経て、ゲームは完成へと近づいていきます。

プログラミング言語とUnreal Engine

Unreal Engineにおけるプログラミングは、主にC++とブループリントの2つの方法で行われます。
C++はUnreal Engineの中核言語であり、最高のパフォーマンスを必要とする部分や、エンジン機能の拡張などに使用されます。
一方、ブループリントはノードベースのビジュアルスクリプティングシステムで、プログラミングの知識がなくてもゲームロジックを実装できる強力なツールです。

C++の利点は、何といってもその実行速度にあります。
直接メモリを操作できるため、パフォーマンスクリティカルな処理を効率的に実装することができます。
また、サードパーティライブラリとの連携も容易で、既存のC++コードをUnreal Engineプロジェクトに統合することも可能です。
ただし、C++はその複雑性から学習難易度が高く、特にプログラミング初心者にとっては敷居が高いと言えます。
また、コンパイル時間が長くなりがちで、小さな変更を試すたびに待ち時間が発生するため、迅速な開発サイクルには向いていない面もあります。

一方、ブループリントは視覚的にわかりやすく、即座に結果を確認できるため、迅速なプロトタイピングや、プログラマー以外のチームメンバーによる機能実装に適しています。
ノードとそれらを結ぶ線によってロジックを表現するため、処理の流れを視覚的に把握しやすいのも特徴です。
実際のゲーム開発環境には未だ導入は難しいですが、将来性はかなり高いといっていいでしょう。
特に、レベルデザイナーやアーティストがゲームプレイ要素を直接実装できる点は、チーム開発において大きなアドバンテージとなります。
例えば、トリガーに入るとドアが開くといった単純な仕掛けから、複雑な敵AIの行動パターンまで、ブループリントで実装することが理論上可能です。
実際の開発現場では、C++でのプログラミングが一般的です。
ただ、パフォーマンスクリティカルな部分や再利用性の高いコアシステムはC++で実装し、それを拡張する形でブループリントを活用する場合もあります。
Unreal Engineでは、C++で作成したクラスをブループリントで継承することも可能であり、両者のメリットを最大限に活かせる設計になっています。
また、最近のUnreal Engineのバージョンでは、「ブループリント通信」と呼ばれる機能も強化されており、C++コードとブループリント間でのデータのやり取りがより柔軟に行えるようになっています。
これにより、技術的な背景が異なるチームメンバー間のコラボレーションがさらにスムーズになりました。

Unreal Engineはその高い表現力と柔軟性により、小規模なインディーゲームから大規模なAAA級タイトルまで、幅広いゲーム開発に活用されています。
学習曲線は決して緩やかではありませんが、一度習得すれば、クリエイターのビジョンを制限なく形にできる強力なツールとなることでしょう。

まとめ

Unreal Engineは、その卓越したビジュアル表現力と豊富な機能群により、ゲーム開発の可能性を大きく広げてくれる強力なエンジンです。
高品質なグラフィックス、柔軟な開発環境、そしてC++とブループリントの両立による開発スタイルの多様性は、プロフェッショナルから個人開発者まで、幅広い層のクリエイターに支持されています。
学習コストは決して低くありませんが、それを乗り越えた先には、創造力を制限なく形にできる圧倒的な表現力が待っています。
Unreal Engineは、これからのゲーム開発においても、最前線を走り続ける存在であり続けるでしょう。

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