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ネットワークエンジニア・サーバーエンジニアの仕事解説|ゲーム・ITを支える「裏方の要」

スマートフォンでゲームをプレイしているとき、ECサイトで買い物をしているとき、動画配信サービスで映画を観ているとき――私たちが日常的に使っているデジタルサービスは、すべて裏側で堅牢なインフラによって支えられています。その中核を担うのが、ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアです。 この記事では、IT業界、特にゲーム業界やWebサービス分野で活躍するネットワークエンジニアとサーバーエンジニアの仕事内容、必要なスキル、そしてキャリアの可能性について詳しく解説します。インフラエンジニアを目指す方、または両者の違いを理解したい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次

ネットワークエンジニア・サーバーエンジニアとは?

ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは、どちらもITインフラを支える専門職ですが、担当する領域や専門性には明確な違いがあります。両者はしばしば協力しながら、システム全体の安定稼働を実現しています。

それぞれの役割と担当範囲

ネットワークエンジニアは、データの通信経路を設計・構築・運用する専門家です。ルーターやスイッチ、ファイアウォールといったネットワーク機器の設定から、ネットワークトポロジーの設計、帯域管理、通信プロトコルの選定まで、「データがどのように流れるか」を管理します。

具体的には、社内LANの構築、データセンター間の接続設計、VPNの設定、負荷分散装置(ロードバランサー)の運用などを担当します。オンラインゲームであれば、プレイヤーのアクセスが集中してもラグが発生しないよう、最適な通信経路を設計することが求められます。

一方、サーバーエンジニアは、アプリケーションやデータが稼働する「箱」であるサーバーの設計・構築・運用を担います。物理サーバーや仮想サーバー、クラウドインスタンスの選定から、OSのインストール・設定、ミドルウェア(Webサーバー、データベース、キャッシュサーバーなど)の構築、パフォーマンスチューニングまで幅広く対応します。

たとえば、Webサービスのバックエンドで動作するアプリケーションサーバーの構成管理、データベースのレプリケーション設定、バックアップ運用の設計などがサーバーエンジニアの仕事です。ゲーム業界では、ゲームサーバーのスケーリング設計や、大型アップデート時のサーバー切り替え作業などを担当します。

共通して求められる「安定性への責任」

ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアに共通するのは、「システムの安定稼働」という使命です。サービスが止まれば、ユーザー体験は損なわれ、企業の信頼も失墜します。特にオンラインゲームやECサイトのように、24時間365日の稼働が前提となるサービスでは、障害対応のスピードと正確性が問われます。

両者とも、監視ツールを活用してシステムの状態を常時チェックし、異常を検知した際には迅速に原因を特定して対処します。また、障害発生を未然に防ぐための冗長化設計や、災害時の復旧計画(DR:Disaster Recovery)の策定も重要な業務です。

さらに、セキュリティへの意識も欠かせません。不正アクセスやDDoS攻撃からシステムを守るため、ファイアウォールの設定やセキュリティパッチの適用、ログ監視などを継続的に実施します。エンジニア自身が「最後の砦」という自覚を持ち、責任感を持って業務に臨む姿勢が求められる職種です。

仕事内容の違いと関わる技術

ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは、扱う技術領域が異なります。それぞれの専門性を深めることで、より高度なインフラ構築が可能になります。

ネットワークエンジニア:通信経路・セキュリティ設計

ネットワークエンジニアの主な業務は、通信インフラの設計・構築・運用です。具体的には以下のような技術や製品を扱います。

ネットワーク機器の設定 Cisco、Juniper、Arista NetworksなどのルーターやスイッチをCLI(コマンドラインインターフェース)で設定します。VLAN設定、ルーティングプロトコル(OSPF、BGP)の構成、スパニングツリーの設定など、ネットワークトポロジーを最適化するための知識が必要です。

セキュリティ対策 ファイアウォール(Palo Alto Networks、Fortinetなど)やIDS/IPS(侵入検知・防止システム)を導入し、不正なトラフィックをブロックします。また、VPNの構築により、リモートワークや拠点間通信を安全に実現します。

負荷分散とトラフィック制御 ロードバランサー(F5、AWS ELBなど)を用いて、トラフィックを複数のサーバーに分散させ、特定のサーバーへの負荷集中を防ぎます。これにより、サービスの応答速度を向上させ、ユーザー体験を最適化します。

ネットワーク監視と障害対応 Zabbix、Nagios、PRTG Network Monitorなどの監視ツールでネットワークの状態を可視化し、パケットロスや遅延の発生を検知します。障害発生時には、Wiresharkなどのパケットキャプチャツールで通信内容を解析し、原因を特定します。

ゲーム業界では、リアルタイム性が求められるため、低遅延(Low Latency)なネットワーク設計が特に重要です。また、グローバル展開しているゲームでは、CDN(Content Delivery Network)の活用や、各国のデータセンターへの接続設計も担当します。

サーバーエンジニア:OS・ミドルウェア・構成管理

サーバーエンジニアは、アプリケーションが動作する基盤の構築・運用を担当します。扱う技術は多岐にわたります。

OS・サーバー構築 Linux(Ubuntu、CentOS、Red Hat Enterprise Linux)やWindows Serverをインストールし、セキュリティ設定やカーネルパラメータのチューニングを行います。仮想化技術(VMware、KVM、Hyper-V)やコンテナ技術(Docker、Kubernetes)を活用し、リソースの効率的な利用を実現します。

ミドルウェア管理 Webサーバー(Apache、Nginx)、アプリケーションサーバー(Tomcat、Unicorn)、データベース(MySQL、PostgreSQL、MongoDB)、キャッシュサーバー(Redis、Memcached)など、アプリケーションの動作に必要なミドルウェアを構築・運用します。

構成管理・自動化 Ansible、Chef、Puppetといった構成管理ツールを使い、サーバー設定を自動化します。これにより、数百台規模のサーバーでも一貫した設定を維持でき、人的ミスを削減できます。Infrastructure as Code(IaC)の考え方に基づき、TerraformやCloudFormationでインフラをコード化することも一般的です。

パフォーマンスチューニング サーバーのCPU、メモリ、ディスクI/Oを監視し、ボトルネックを特定して最適化します。データベースのインデックス設計やクエリ最適化、キャッシュ戦略の見直しなど、アプリケーションの性能向上に直結する業務です。

バックアップ・リカバリ 定期的なバックアップスケジュールの設計と、障害時の迅速なデータ復旧手順の確立が不可欠です。RPO(目標復旧時点)とRTO(目標復旧時間)を定義し、ビジネス要件に応じた復旧計画を策定します。

ゲーム業界では、ゲームサーバーの負荷が時間帯やイベントによって大きく変動するため、オートスケーリング機能を活用した柔軟な構成が求められます。また、大規模なマルチプレイヤーゲームでは、数万人が同時接続する状況にも耐えられるサーバー設計が必要です。


ゲーム・IT業界での活躍フィールド

ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは、ゲーム業界やIT業界の最前線で活躍しています。特に、デジタルサービスの拡大に伴い、その需要は年々高まっています。

オンラインゲームの通信基盤構築

オンラインゲーム、特にMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)やバトルロイヤル系ゲームでは、リアルタイムな通信が成否を分けます。プレイヤー同士の位置情報やアクション、チャット内容などを瞬時に同期させるため、低遅延で安定したネットワークが不可欠です。

ネットワークエンジニアは、ゲームサーバーとプレイヤー端末間の通信経路を最適化し、パケットロスを最小限に抑えます。また、DDoS攻撃への対策として、トラフィックフィルタリングや専用の防御サービスを導入します。

サーバーエンジニアは、ゲームサーバー群のクラスタリング設計や、ゲームデータを保存するデータベースのシャーディング(分散配置)を担当します。イベント開催時には、通常の数倍のアクセスが予想されるため、事前に負荷テストを実施し、必要に応じてサーバー台数を増強します。

さらに、ゲームのアップデートやメンテナンス時には、サービス停止時間を最小限にする「ブルーグリーンデプロイメント」や「カナリアリリース」といった手法を活用します。プレイヤーに快適なゲーム体験を提供し続けるため、インフラエンジニアの役割は極めて重要です。

Web・クラウドサービスのインフラ整備

ECサイト、動画配信サービス、SNS、SaaSプラットフォームなど、現代のWebサービスは膨大なトラフィックを処理しています。ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは、これらのサービスを支えるインフラを設計・運用します。

スケーラビリティの確保 Webサービスは、ユーザー数の増加に応じてインフラを柔軟に拡張できる必要があります。AWS、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureといったクラウドプラットフォームを活用し、Auto Scalingやマネージドサービスを組み合わせて、需要に応じた自動スケーリングを実現します。

高可用性の実現 サービスの可用性を高めるため、複数のアベイラビリティゾーンやリージョンにまたがる冗長構成を構築します。ロードバランサーによるヘルスチェックと自動フェイルオーバーにより、一部のサーバーが停止しても全体のサービスは継続します。

セキュリティ強化 SSL/TLS証明書の導入による通信の暗号化、WAF(Web Application Firewall)による攻撃の防御、IAM(Identity and Access Management)による厳格なアクセス制御など、多層防御の考え方に基づいたセキュリティ対策を実施します。

コスト最適化 クラウド利用においては、リソースの無駄を削減し、コストを最適化することも重要な業務です。使用していないインスタンスの停止、リザーブドインスタンスの活用、ストレージのライフサイクル管理など、技術とビジネスの両面から最適な判断が求められます。

キャリアパスと将来性

ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは、IT業界において高い専門性を持つ職種であり、キャリアの選択肢も豊富です。技術の進化とともに、新たな役割や領域が生まれており、将来性も非常に高い職種といえます。

クラウドエンジニア・SRE・セキュリティエンジニアへ発展

クラウドエンジニアへの転身 オンプレミス環境での経験を活かし、AWS、GCP、Azureといったクラウドプラットフォームの設計・運用を専門とするクラウドエンジニアにキャリアアップする道があります。クラウドネイティブな技術(Kubernetes、サーバーレスアーキテクチャ、マネージドサービス)を習得し、よりモダンなインフラ構築に携わることができます。

AWS認定ソリューションアーキテクト、Google Cloud Professional Cloud Architect、Microsoft Azure Administratorなどの資格を取得することで、専門性を証明し、市場価値を高めることが可能です。

SRE(Site Reliability Engineering)への発展 SREは、Googleが提唱した「信頼性エンジニアリング」の概念で、システムの信頼性向上を目的とした開発・運用を行います。従来の運用業務に加え、自動化、監視、インシデント対応の改善、SLO(サービスレベル目標)の設定など、より戦略的な役割を担います。

SREエンジニアは、開発チームとの協働が多く、プログラミングスキル(Python、Goなど)やCI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)の知識も必要とされます。DevOpsの思想に基づき、インフラと開発の境界を越えた働き方が求められます。

セキュリティエンジニアへの特化 ネットワークやサーバーの知識を基盤に、セキュリティ専門のエンジニアへ進むことも可能です。脆弱性診断、ペネトレーションテスト、セキュリティ監視(SOC:Security Operation Center)、インシデントレスポンスなど、サイバーセキュリティの最前線で活躍します。

CISSP(Certified Information Systems Security Professional)やCEH(Certified Ethical Hacker)などの国際的なセキュリティ資格を取得することで、専門性をさらに高めることができます。

技術を超えて「運用改善」を提案するスキルが鍵

今後のインフラエンジニアには、単なる技術スキルだけでなく、ビジネス視点での問題解決力が求められます。システムの安定稼働を維持するだけでなく、運用コストの削減、業務効率化、サービス品質の向上など、組織全体の価値向上に貢献する姿勢が重要です。

運用改善の提案 手動で行っている作業を自動化し、人的ミスを削減するとともに、エンジニアがより創造的な業務に集中できる環境を作ります。また、監視アラートの精度を高め、誤検知を減らすことで、オンコール対応の負担を軽減します。

データドリブンな意思決定 ログ分析やメトリクス監視から得られるデータを活用し、システムのボトルネックや改善点を可視化します。Grafana、Prometheus、Datadogといった監視・可視化ツールを駆使し、定量的な根拠に基づいた改善提案を行います。

コミュニケーション能力 開発チーム、プロダクトマネージャー、経営層など、多様なステークホルダーと協働するため、技術的な内容を分かりやすく説明する力が求められます。障害報告書の作成やポストモーテム(事後分析)の実施を通じて、組織全体の学習と改善を促進します。

継続的な学習姿勢 IT業界は技術の進化が非常に速く、新しいツールやフレームワークが次々と登場します。オンライン学習プラットフォーム(Udemy、Coursera、Pluralsight)や技術コミュニティ(勉強会、カンファレンス)を活用し、常に最新の知識をキャッチアップする姿勢が重要です。

まとめ

ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは、オンラインゲームやWebサービスなど、現代のデジタル社会を支える縁の下の力持ちです。それぞれの専門領域は異なりますが、共通するのは「システムの安定稼働」という使命と、技術を通じてユーザー体験を向上させる責任です。

ゲーム業界では、リアルタイム性と大規模なトラフィック処理が求められ、IT業界全般では、クラウド化やセキュリティ強化が急速に進んでいます。これらの変化に対応し、技術を磨き続けることで、クラウドエンジニア、SRE、セキュリティエンジニアなど、多様なキャリアパスが開けます。

さらに、技術スキルだけでなく、運用改善の提案力やビジネス視点を持つことで、組織全体に貢献できるエンジニアへと成長できます。インフラエンジニアを目指す方にとって、ネットワークとサーバーの知識は、キャリアの強固な基盤となるでしょう。

もしあなたが「裏方として、確かな技術でサービスを支えたい」「大規模なシステムの安定稼働に責任を持ちたい」と考えているなら、ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアのキャリアは、非常にやりがいのある選択肢です。まずは基礎知識の習得から始め、実務経験を積み重ねながら、自分の専門性を磨いていきましょう。