【2025年9月時点】職種別フリーランス求人動向:2Dデザイナー・UI/UXデザイナー

2Dデザイナー・UI/UXデザイナー求人傾向
分析対象
2025年9月時点の公開されているゲーム業界の2D(UI/UX)デザイナー職(業務委託・フリーランス)
出勤形態
出社常駐:約33.9%
ハイブリッド出社:約46.8%
フルリモート:約19.4%
求人内容から見える傾向
9月も引き続き「ハイブリッド出社」が約半数の46.77%を占め、最も一般的な働き方として定着しています。これは、チーム間の密なコミュニケーションや、対面での細かなデザインの調整・フィードバックの重要性を重視しつつ、デザイナーの柔軟な働き方へのニーズにも応えようとする企業の姿勢を反映していると言えます。
「出社常駐」は33.87%と、8月から微増しており、特にコンシューマーゲーム開発や、新規プロジェクトの立ち上げ期など、機密性の高い案件や緊密なチーム連携が求められるプロジェクトでの需要が根強いことがうかがえます。
「フルリモート可」は19.35%となり、イラストレーター職など、個人作業が中心となる業務において、一定の割合で採用されていますが、全体としてはハイブリッドが主流です。
対応プラットフォーム/エンジン
【対応プラットフォーム/エンジン】
スマートフォン向け(iOS/Android):約37.1%
コンシューマ(PS5 / Switch など):約9.7%
PCゲーム(Steam中心等):約3.2%
未記載:約50.0%
【エンジン】
Unity:約22.6%
Unreal Engine:約1.6%
エンジン未記載:約75.8%
求人内容から見える傾向
プラットフォームの指定が「未記載」の案件が50.0%と半数を占めています。これは、イラスト制作やグラフィックデザインといった、特定のプラットフォームに依存しないビジュアル制作業務のグラフィック案件が含まれているためです。
ゲーム案件の中では「スマートフォン向け」が37.1%で最多であり、モバイルゲーム市場の継続的な活況を示しています。また、「コンシューマ」向けは9.7%で、HD2Dのドット絵案件やハイクオリティな2Dアートを求める案件も存在します。
使用エンジンの「未記載/不明」が75.8%と大半を占める傾向は、2Dデザイナー職の業務がデザイン・アートワーク制作に集中し、エンジンスキルが必須とされないケースが多いことを示しています。
一方で、「Unity」は22.58%と一定の割合で記載されており、特にUI/UXデザイナーの案件でUI実装やアニメーション組み込みのスキルが求められるケースが増加しています。デザインスキルだけでなく、実装理解を持つハイブリッドなデザイナーの需要が高まっていることが分かります。
単価水準
80万円以上/月:0.00%
60万〜80万円/月:30.6%
40万〜60万円/月:11.3%
40万円以下/月:0.00%
スキル見合い:58.1%
単価水準の傾向
単価が「スキル見合い」の案件が58.1%と、引き続き圧倒的な多数を占めています。これは、2Dデザイナーの業務がイラストレーター、UI/UXデザイナー、グラフィッカーなど多岐にわたり、求められる専門性や経験年数、ディレクション能力の有無によって評価が大きく変動するため、個別のスキル交渉が主流となっていることを示しています。
具体的な単価が提示されている中では、「60万〜80万円」のレンジが30.6%で最も多く、中堅からベテラン層への需要が高いことが分かります。このレンジでは、UI/UX設計やアートディレクション、外注管理など、複合的な業務に対応できるデザイナーが求められる傾向があります。
「40万〜60万円」は11.3%で、主に特定領域の作画やサポート業務が中心の案件が該当します。なお、「80万円以上」や「40万円以下」の案件も「スキル見合い」の中に含まれている可能性が高いです。
求められるスキル要件
Illustrator / Photoshop:61.3%
Clip Studio / SAI:25.8%
Unity:27.4%
Unreal Engine:1.6%
After Effects / Animator / Timeline:6.5%
スキル要件の傾向
「Illustrator / Photoshop」が61.3%で、最重要スキルの地位を維持しています。これは、イラスト制作やグラフィックデザイン、UIデザインのいずれの領域においても、Adobe系ツールが業界標準であり、高品質なビジュアル制作に不可欠であることを示しています。
「Unity」がUI/UXデザイナー案件を中心に高い割合を示しており、デザインから実装まで一貫して対応できるハイブリッド型デザイナーの市場価値が高まっていることを裏付けています。
「Clip Studio / SAI」も25.8%と無視できない割合であり、主にキャラクターイラストレーター案件において、漫画・アニメ系のテイストでの作画に強みを持つ人材が求められています。
スキル要件は、「純粋なアートスキル(Illustrator/Photoshop、Clip Studio/SAI)」と「実装スキル(Unity)」に二極化する傾向が明確であり、自身の専門領域を明確にした上でのスキルアップが重要です。
案件タイプの分類
新規開発案件:約61.3%
運営フェーズ:約25.8%
記載なし:約12.9%
案件タイプの分類での傾向
「新規開発案件」が61.29%と全体の6割以上を占めており、ゲーム業界における活発な新規タイトルの開発状況を示しています。新規開発では、コンセプトアートや世界観構築、初期UI/UX設計など、創造性と広範なデザインスキルが求められる傾向があります。
「運営フェーズ」の案件は25.81%で、既存タイトルの継続的なコンテンツ制作やUI改善の需要があることが分かります。運営案件では、既存のデザインガイドラインを遵守しつつ、データに基づいた改善提案ができるスキルが重視されます。
今後の注目ポイント
「イラストレーター」と「UI/UXデザイナー」の専門性の深化
案件データから、イラストレーター系はAdobe系ツールやCLIP STUDIOを用いたアートスキル、UI/UXデザイナー系はUnityやFigmaを用いた実装・設計スキルが強く求められるという、専門領域の二極化が明確になっています。今後は、自身の専門領域を深く掘り下げ、替えの効かない強みを持つことが市場価値を高める鍵となります。
Unityスキルを持つUIデザイナーの価値向上
Unityを用いた案件が引き続き高い割合を示していることから、UIデザインに加えてUnity上でのUI組み込みやアニメーション制作まで対応できるUIアーティストの需要はさらに拡大すると予想されます。デザインの意図を直接実装に反映できるスキルは、開発効率化の観点からも重宝されます。
多様なプラットフォームと非ゲーム領域への展開
スマートフォン向けが最多である一方、コンシューマ、PCゲーム、そして遊技機映像や公営競技サービスアプリなどの非ゲーム領域の案件も一定数存在します。特に「未記載」が多い背景には、汎用的なグラフィックデザインスキルを活かせる多様なフィールドの広がりが見え、ゲーム業界外の案件にも目を向けることで、より多くの機会を得られる可能性があります。