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ゲーム用語特集:Maya編|ゲーム・IT業界に強い人材会社|株式会社STAND|スタキャリテック

3Dゲーム開発の世界において、Autodesk社の「Maya」は最も重要なツールの一つとして広く認識されています。 プロフェッショナルなゲーム制作現場で標準的に使用されるこのソフトウェアは、3Dモデリング、アニメーション、シミュレーション、レンダリングなど、幅広い機能を提供しています。 本特集では、ゲーム開発者が日々使用するMaya関連の専門用語を詳しく解説し、これからゲーム業界を目指す方や、3DCGに興味を持つ方々にとって有益な知識をお届けします。 Mayaの専門用語は多岐にわたりますが、基本的な概念からプロフェッショナルなワークフローで使われる高度な技術まで、段階的に理解することで、3Dゲーム開発の世界への理解を深めることができるでしょう。
目次

Mayaの基本概念

ポリゴン(Polygon)
Mayaでの3Dモデリングの基本単位です。
三角形や四角形などの平面で構成され、これらを組み合わせることで3Dオブジェクトを形成します。

バーテックス(Vertex)
ポリゴンを構成する頂点のことで、3D座標上の点として定義されます。
ゲーム開発では「頂点」とも呼ばれ、モデルの詳細な形状を決定する重要な要素です。

エッジ(Edge)
二つのバーテックスを結ぶ線分です。
エッジの操作によってモデルの輪郭や特徴を形作ります。

フェイス(Face)
ポリゴンの面のことで、通常は三角形(トライアングル)または四角形(クワッド)で構成されます。
ゲームエンジンでは、最終的にすべてのポリゴンはトライアングルに変換されて処理されることが多いです。

ポリカウント(Polycount)
モデルに使用されているポリゴンの総数を表します。
ゲーム開発では、パフォーマンスに直結するため、適切なポリカウント管理が不可欠です。
ハイポリモデルとローポリモデルの使い分けは、ゲームのパフォーマンスと品質のバランスを取る上で重要です。

ビューポート(Viewport)
Mayaでの作業領域であり、3Dモデルの表示や編集を行う場所です。
パースペクティブビュー(自由視点)やオーソグラフィックビュー(正面、側面、上面)などがあります。

チャンネルボックス(Channel Box)
選択したオブジェクトのプロパティや属性を表示・編集するためのパネルです。
位置(Translate)、回転(Rotate)、拡大縮小(Scale)などの基本的なトランスフォーム情報を操作できます。

アウトライナー(Outliner)
シーン内のすべてのオブジェクトを階層構造で表示するパネルです。
ゲーム開発では、キャラクターやオブジェクトの親子関係を管理するために頻繁に使用されます。

ハイパーシェード(Hypershade)
マテリアルやテクスチャを作成・編集するためのエディタです。
ゲームのビジュアル面を構築する上で重要な役割を果たします。

高度なモデリング技術

サブディビジョンサーフェス(Subdivision Surface)
ローポリゴンモデルを滑らかに細分化する技術です。
Mayaでは「Smooth」操作とも呼ばれ、詳細なメッシュを生成します。
ゲーム開発では、ハイポリモデルを作成した後、ノーマルマップを生成するためのベースとして使用されることが多いです。

クリースエッジ(Crease Edge)
サブディビジョン時に鋭く保持したいエッジに適用する属性です。
キャラクターや環境モデルの特定の部分を強調したい場合に使用されます。

トポロジー(Topology)
ポリゴンの流れや構造を指し、特にキャラクターモデリングにおいて重要です。
適切なトポロジーは、アニメーション時の変形品質に直結します。

エッジループ(Edge Loop)
連続したエッジの集まりで、モデルの表面に沿って一周するようなパターンを形成します。
筋肉の流れやしわの表現に効果的です。

ポールバーテックス(Pole Vertex)
5つ以上のエッジが集まる頂点のことで、トポロジー上の特異点となります。
適切に配置しないと、アニメーション時に変形の問題を引き起こす可能性があります。

レティクル(Retopology)
高解像度のモデル(通常はスカルプトされたもの)をベースに、ゲームに適した低解像度のメッシュを再構築するプロセスです。
Mayaでは「Quad Draw」ツールを使って行われることが多いです。

UVマッピングと質感表現

UV座標(UV Coordinates)
3Dモデルの表面を2D平面に展開するための座標系です。
Uは水平方向、Vは垂直方向の座標を表します。
これにより、2Dテクスチャを3Dモデルに正確に貼り付けることができます。

UVアンラップ(UV Unwrapping)
3Dモデルを展開して2D平面の「UV(テクスチャ)座標」に変換するプロセスです。
Mayaでは「UV Editor」を使用して行います。

シームズ(Seams)
UVを展開する際の「切れ目」となる部分です。
適切なシーム配置は、テクスチャの歪みを最小限に抑えるために重要です。
通常、モデルの目立たない部分やエッジに配置されます。

アイランド(Islands)
UV平面上に展開された個々の領域を指します。
UVレイアウトでは、これらのアイランドを効率的に配置することで、テクスチャスペースを最大限に活用します。

テクセル密度(Texel Density)
テクスチャの解像度がモデル上でどれだけの密度で表示されるかを表す概念です。
一貫したテクセル密度を維持することで、モデル全体のテクスチャ品質が均一になります。

PBRワークフロー(Physically Based Rendering)
現実世界の光の挙動を模倣する現代的なレンダリング手法です。
ゲーム開発では、Unity、Unreal Engineなどのゲームエンジンでのレンダリングを前提としたマテリアル設定が重要です。

マテリアルチャンネル(Material Channels)
ディフューズ(基本色)、スペキュラー(反射)、ノーマル(凹凸)、メタリック(金属感)、ラフネス(粗さ)などがあります。これらの組み合わせにより、さまざまな質感表現が可能になります。

ベイク(Bake)
高解像度モデルの詳細をテクスチャとして低解像度モデルに転写するプロセスです。
Mayaと連携して使用される「Substance Painter」などのソフトウェアでよく行われます。

ノーマルマップ(Normal Map)
表面の凹凸情報を色情報としてエンコードしたテクスチャです。
青みがかった画像が特徴で、低ポリゴンモデル上に高解像度の詳細を表現するために使用されます。

AO(Ambient Occlusion)マップ
環境光による遮蔽を表現するテクスチャで、オブジェクトの隙間や窪みなどに陰影を付けることで立体感を強化します。

リギングとアニメーション

リグ(Rig)
3Dモデルをアニメーションするための制御システムです。
主にジョイント(骨)とコントローラーで構成されます。
適切に設計されたリグは、アニメーターの作業効率を大きく向上させます。

ジョイント(Joint)
キャラクターの骨格を形成する要素です。
階層構造になっており、親ジョイントの動きは子ジョイントに伝播します。

スキニング(Skinning)
ジョイントとメッシュを関連付けるプロセスです。
スキンウェイト(各頂点がどのジョイントにどれだけ影響されるか)の調整が重要になります。

インバースキネマティクス(IK)
エンドエフェクター(手や足など)の位置を指定すると、連結されたジョイントチェーン全体が自動的に適切な姿勢をとるシステムです。
脚や腕のアニメーションによく使用されます。

フォワードキネマティクス(FK)
親から子へと順番にジョイントを回転させていくシステムです。
より正確な制御が可能ですが、IKよりも操作に時間がかかります。

ブレンドシェイプ(Blend Shape)
メッシュの形状を異なる形状に変形させる技術です。
表情アニメーションや口の動きなどに利用されます。「モーフターゲット」とも呼ばれます。

ドリブンキー(Driven Key)
あるアトリビュート(属性)の値に基づいて、別のアトリビュートをアニメーションする機能です。
例えば、指の曲げ具合に応じて自動的に指の関節が適切に変形するようなセットアップが可能です。

コンストレイント(Constraint)
オブジェクト間の関係を定義するシステムです。
ある要素の動きを別の要素に連動させる場合に使用されます。
代表的なものには、ポイント(位置)、オリエント(回転)、エイム(視線方向)などがあります。

ジョイントオリエント(Joint Orient)
ジョイントの回転基準を設定するための概念です。
正確なリギングのためには、適切なジョイントオリエンテーションの設定が不可欠です。

アニメーション技術

キーフレーム(Keyframe)
アニメーションの特定の瞬間を記録したフレームです。
キーフレーム間の動きは自動的に補間されます。

タイムライン(Timeline)
アニメーションのフレーム単位での時間経過を表示・編集するためのインターフェースです。

グラフエディタ(Graph Editor)
アニメーションカーブを細かく編集するためのツールです。
イージングの調整やタイミングの微調整に使用されます。

モーションパス(Motion Path)
オブジェクトの移動経路を視覚化し、編集するための曲線です。
複雑な動きを設計する際に役立ちます。

サイクルアニメーション(Cycle Animation)
歩行や走行など、繰り返し再生される動きのことです。
ゲームでは、シームレスなループが重要になります。

エフェクトとシミュレーション

パーティクル(Particle)
煙、火、雨、雪などのエフェクトを表現するための小さな要素です。
Mayaの「nParticles」システムを使用して生成・制御されます。

エミッター(Emitter)
パーティクルの発生源となるオブジェクトです。
形状や放出レート、方向などの設定が可能です。

フィールド(Field)
パーティクルの動きに影響を与える力場です。
重力、風、渦などの効果を表現できます。

リジッドボディ(Rigid Body)
変形しない固体オブジェクトのシミュレーションです。
物理演算による衝突や反発などの挙動を計算します。

ソフトボディ(Soft Body)
布や柔らかい物体のようにある程度変形する物体のシミュレーションです。

nCloth
Mayaの布シミュレーションシステムで、服や旗などの挙動をリアルに表現できます。

ヘアシステム(Hair System / XGen)
髪の毛や草などの表現に使用されるシステムです。
特にXGenは、高度な毛髪やファーの生成に適しています。

レンダリングとビジュアライゼーション

Arnold
Mayaの標準レンダラーの一つで、フォトリアリスティックなレンダリングが可能です。
ゲーム開発では主にコンセプトや参考用の高品質レンダリングに使用されます。

レンダーレイヤー(Render Layers)
シーンの特定の要素を分離してレンダリングするための仕組みです。
後工程での合成に役立ちます。

AOV(Arbitrary Output Variables)
マテリアルIDやデプス、ノーマルなど、特定の情報のみを出力するレンダリングチャンネルです。
ポストプロダクションでの調整に使用されます。

ビューポートディスプレイ(Viewport Display)
リアルタイムでの表示モードで、テクスチャ表示やライティングのプレビューなどが可能です。
Viewport 2.0では、より高度なリアルタイムレンダリングが実現されています。
プレイブラスト(Playblast)
ビューポートの状態を動画として素早く出力する機能です。
アニメーションの確認やプレゼンテーション用に使用されます。

ゲーム開発向けのMaya拡張機能

MEL(Maya Embedded Language)
Maya独自のスクリプト言語です。
自動化や繰り返し処理を効率化するのに役立ちます。

Python
現代のMayaスクリプティングで主流の言語です。
MELよりも強力で柔軟性が高く、ゲーム開発のワークフローを自動化する上で重要な役割を果たします。

FBX形式
ゲームエンジンとの連携に最も広く使用されるファイル形式です。
モデル、リグ、アニメーション、テクスチャ情報などを含めて書き出すことができます。
Game Exporter
Mayaからゲームエンジンへの最適化された書き出しを行うためのプラグインやスクリプトの総称です。Unity用、Unreal Engine用など、エンジンに応じたエクスポーターが存在します。

Maya HumanIK
キャラクターリグのセットアップと操作を簡素化するシステムです。
特にモーションキャプチャデータとの連携に有用です。

ゲーム開発における最適化テクニック

LOD(Level of Detail)
プレイヤーとの距離に応じて自動的に詳細度の異なるモデルを切り替える技術です。
遠くの物体には低ポリゴンモデルを使用することで、全体的なパフォーマンスを向上させます。

デシメーション(Decimation)
ポリゴン数を自動的に削減するプロセスです。
Mayaの「Reduce」ツールなどで実行できます。

ポリゴンマージ(Polygon Merge)
不要なエッジやバーテックスを統合して、メッシュを最適化する操作です。

ドローコール最適化(Draw Call Optimization)
レンダリング処理の効率化のため、同じマテリアルを使用するオブジェクトをまとめる技術です。
Mayaでのモデリング段階から計画的に設計することが重要です。

バッチング(Batching)
複数のメッシュを一つのオブジェクトにまとめる処理です。
静的なオブジェクトの場合、ステーティックバッチングにより描画パフォーマンスが向上します。

ゲームレディアセット(Game-Ready Asset)
ゲームエンジンにインポートしてすぐに使用できる状態のアセットを指します。
適切なポリゴン数、効率的なUV配置、最適化されたテクスチャなどが特徴です。

業界ワークフロー

アセットパイプライン(Asset Pipeline)
コンセプトから最終的なゲームへの実装までの制作フローを指します。
Mayaはこのパイプラインの中核的な役割を果たします。
コンセプトアート→ブロックアウト→高解像度モデリング→レトポロジー→UVマッピング→テクスチャリング→リギング→アニメーション→エンジン実装という一連の流れが一般的です。

バージョン管理(Version Control)
アセット制作過程での変更を追跡・管理するシステムです。
「Perforce」や「Git LFS」などのツールがゲーム開発では頻繁に使用されます。

アセットナミングコンベンション(Asset Naming Convention)
大規模開発で混乱を避けるための命名規則です。
プロジェクトごとに定められた規則に従ってファイルを管理することが重要です。

レファレンス(Reference)
Mayaの機能の一つで、外部ファイルをリンクさせて参照する仕組みです。
複数のアーティストが同時に作業する場合に便利です。

アラインメントツール(Alignment Tools)
オブジェクトの位置や角度を正確に合わせるための機能です。
チーム間での一貫性を保つために活用されます。

最新技術と今後の展望

リアルタイムレンダリング(Real-time Rendering)
ゲームエンジン内で即時に画像を生成する技術です。
Maya内でのプレビューも徐々に強化されています。

PBR(Physically Based Rendering)ワークフロー
これの普及により、Maya内でのマテリアル設定とゲームエンジンでの表示の差異が少なくなってきています。

VRモデリング(VR Modeling)
VR空間内で直接モデリングを行う新しいアプローチです。
Mayaとの連携ツールも徐々に登場しています。

XR対応モデル
VR/AR環境での使用を考慮した最適化が施されたモデルです。
特殊なレンダリング要件に対応するための属性設定が必要になる場合があります。

AI支援モデリング(AI-assisted Modeling)
機械学習を活用して、モデリングプロセスを効率化する新興技術です。
自動リトポロジーや質感生成などの分野で進展が見られます。

スマートリギング(Smart Rigging)
機械学習によってキャラクターのリギングプロセスを自動化・支援する技術です。
Mayaのプラグインとしても徐々に実装されつつあります。

まとめ

Mayaはゲーム開発において中心的な役割を果たす3DCGソフトウェアであり、その専門用語は多岐にわたります。
本特集で紹介した用語は、ゲーム開発現場でのコミュニケーションを円滑にするための基礎知識と言えるでしょう。
初心者はまずポリゴンモデリングの基本概念から学び始め、徐々にUVマッピング、リギング、アニメーションへと知識を拡げていくことをお勧めします。
また、専門用語を知るだけでなく、実際にMayaを使ってプロジェクトを進めることで、実践的な理解が深まります。
ゲーム業界は技術の進化が速く、Mayaの機能や用語も常に更新されています。
最新の情報を追い続けることが、プロフェッショナルとして活躍するための鍵となるでしょう。
本特集が皆様のゲーム開発の旅において、有益な道標となれば幸いです。
現代のゲーム開発では、Mayaの知識だけでなく、ゲームエンジンとの連携や最適化技術の理解も重要です。両者の橋渡しとなる知識を身につけることで、より効率的かつ創造的な制作が可能になるでしょう。

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