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メタバースとゲーム業界の接続点|活用領域と将来性を解説

メタバースはゲーム業界とどうつながっているのか?技術・体験設計・ビジネスの共通点から、活用領域や将来性をわかりやすく解説します。
目次

メタバースとは何か?

メタバースの基本概念

メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間であり、ユーザーがアバターを介して他者と交流したり、経済活動を行ったりできるデジタル環境を指します。「メタ(超越)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語で、一般には1992年にニール・スティーヴンスンのSF小説『スノウ・クラッシュ』に由来するとされます。

現代のメタバースは、単なる仮想空間にとどまらず、以下のような特徴を持つ複合的なデジタル環境として進化しています。

まず、永続性が挙げられます。ユーザーがログアウトしても世界は存在し続け、他のユーザーの行動によって状況が変化していきます。次に、同時性と共有体験です。多数のユーザーが同じ空間で同時に活動し、リアルタイムでコミュニケーションやイベントを体験できます。

さらに、経済活動の実現も重要な要素です。仮想空間内で独自の経済圏が形成され、アイテムの売買やサービスの提供など、現実世界と同様の経済活動が可能になっています。加えて、相互運用性の拡大も進んでおり、異なるプラットフォーム間でアバターやアイテムを移動できる仕組みが模索されています。

技術面では、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といったXR技術、ブロックチェーン、AI、5G通信などが統合され、より没入感のある体験を提供しています。2021年にFacebook社がMeta社へ社名変更したことをきっかけに、メタバースへの注目度は急速に高まり、現在では様々な企業がこの領域への投資を加速させています。

ゲームとの違いと共通点

メタバースとゲームは密接に関連していますが、明確な違いも存在します。この両者の関係性を理解することは、メタバースの本質を捉える上で非常に重要です。

従来のゲームは、開発者が設定した明確な目的やゴールが存在し、プレイヤーはそれを達成することを主な目的とします。ストーリーをクリアする、スコアを競う、ミッションを完遂するといった具体的な達成目標が設けられているのが特徴です。

一方、メタバースには必ずしも明確なゴールが存在しません。ユーザーは自由に目的を設定し、コミュニケーション、創作活動、ビジネス、学習など、多様な活動を自律的に選択できます。この点で、メタバースは「生活空間」としての性質が強いと言えるでしょう。

しかし、両者には多くの共通点も存在します。技術基盤としては、3Dグラフィックス、ネットワーク技術、物理演算エンジンなど、ゲーム開発で培われた技術がメタバースの構築にも活用されています。UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンは、メタバースプラットフォームの開発においても中核的な役割を果たしています。

体験設計の面でも共通項があります。ユーザーエンゲージメントを高めるためのUI/UX設計、没入感を生み出す演出、ソーシャル機能の実装など、ゲームデザインの知見がメタバースにも応用されています。

また、運営の観点からも類似点が見られます。大規模なオンラインゲームで蓄積されたサーバー管理、コミュニティマネジメント、不正対策、定期的なコンテンツアップデートといったノウハウは、メタバース運営にも不可欠な要素となっています。

実際、『フォートナイト』や『Roblox』など、ゲームとメタバースの境界線が曖昧になっている事例も増えています。これらのプラットフォームは、ゲームプレイの要素を持ちながら、音楽ライブやユーザー生成コンテンツの共有など、メタバース的な体験も提供しています。このような融合が進むことで、ゲーム業界の知見がメタバースの発展に直接貢献する構造が生まれているのです。

ゲーム業界が培ってきた技術との接点

リアルタイム3D・オンライン技術

メタバースの実現には、ゲーム業界が長年にわたって磨き上げてきたリアルタイム3D技術とオンライン技術が不可欠です。これらの技術なくしては、没入感のある仮想空間も、多人数が同時に参加する体験も成立しません。

リアルタイム3Dレンダリング技術は、ゲーム開発の中核を担ってきました。毎秒60フレーム以上で複雑な3D空間を描画する技術は、プレイステーションやXboxの世代交代とともに進化し、現在では映画品質に迫るビジュアルをリアルタイムで生成できるようになっています。この技術基盤がそのままメタバースの視覚体験を支えています。

物理演算エンジンもゲーム業界の重要な資産です。重力、衝突判定、布や水の挙動など、現実世界の物理法則を仮想空間で再現する技術は、ユーザーに「そこに世界が存在する」という実在感を与えます。PhysXやHavokといった物理エンジンは、メタバースプラットフォームでも広く採用されています。

オンライン技術の面では、MMORPGの開発で培われた知見が特に重要です。数千、数万のプレイヤーが同時に接続する環境を安定的に運用する技術は、20年以上の試行錯誤の歴史があります。サーバーアーキテクチャ、負荷分散、レイテンシー(遅延)の最小化、データ同期など、大規模オンライン環境の構築ノウハウは、メタバースの基盤技術そのものと言えるでしょう。

ネットワーク最適化技術も見逃せません。限られた帯域幅の中で、数百人が同じ空間にいる状況を各ユーザーに適切に伝えるには、データの優先順位付けや圧縮技術が必要です。「近くのユーザーの情報は詳細に、遠くのユーザーは簡略化して送る」といった動的な情報管理は、オンラインゲームで確立された手法です。

さらに、クロスプラットフォーム技術の発展も重要です。PC、コンソール、モバイルデバイスなど、異なるハードウェア環境で同じ体験を提供する技術は、ゲーム業界が市場拡大のために開発してきました。メタバースでも、デバイスを問わずアクセスできる環境が求められており、この知見が活かされています。

また、ストリーミング技術やレベル・オブ・ディテール(LOD)制御など、巨大な世界を効率的に描画する技術も、オープンワールドゲームの開発で洗練されてきました。必要な部分だけを読み込み、視点からの距離に応じて描画品質を調整する仕組みは、広大なメタバース空間を実現する上で欠かせません。

これらの技術は、単独で機能するものではなく、複雑に組み合わさって初めて快適な体験を生み出します。ゲーム業界が数十年かけて統合してきた技術スタックが、メタバース開発の大きなアドバンテージとなっているのです。

運営型ゲームの知見

メタバースの持続的な成長には、単に技術を構築するだけでなく、長期的に運営していくノウハウが必要です。この点で、ゲーム業界が「サービス型ゲーム」や「ライブサービス」として蓄積してきた運営の知見が極めて重要な役割を果たしています。

コンテンツアップデート戦略は、ユーザーエンゲージメントを維持する鍵です。オンラインゲームでは、定期的な新コンテンツの追加、季節イベント、限定アイテムなどによって、ユーザーの継続的な参加を促してきました。「常に新しい体験がある」という期待感を生み出す手法は、メタバースでも同様に有効です。

コミュニティマネジメントの経験も貴重です。大規模なオンラインゲームでは、プレイヤーコミュニティの健全性を保つことが運営の重要課題でした。ハラスメント対策、紛争調停、ユーザー間のトラブル対応など、人が集まる場所特有の課題に対処してきた経験は、メタバースの社会設計に直接応用できます。

モデレーション技術とポリシー運用も見逃せません。不適切なコンテンツやチート行為への対処、自動検知システムと人的対応の組み合わせ、段階的なペナルティ設計など、デジタル空間の秩序を保つ仕組みは、ゲーム運営で培われてきました。

経済バランスの調整能力も重要です。オンラインゲームでは、ゲーム内通貨の価値、アイテムの希少性、プレイヤー間の取引など、仮想経済の設計と調整が長年行われてきました。インフレーション対策、価値の安定化、経済活動の監視といった知見は、メタバース内の経済圏構築に不可欠です。

データ分析とKPI管理のノウハウも活用されています。ユーザー行動の分析、滞在時間や活動パターンの把握、離脱要因の特定など、データドリブンな運営改善の手法は、メタバースのユーザー体験向上に貢献します。

さらに、技術的負債への対処経験も重要です。長期運営されるサービスでは、初期の設計が後々の拡張を妨げることがあります。システムの段階的な刷新、後方互換性の維持、移行期のユーザー対応など、サービスを止めずに進化させる技術は、ゲーム運営の中で磨かれてきました。

スケーラビリティへの対応も見逃せません。急激なユーザー増加への対処、サーバー負荷の分散、ピーク時の安定性確保など、予測不可能な成長に対応してきた経験は、メタバースの拡大期に大きな価値を持ちます。

これらの運営知見は、技術仕様書には書かれない「暗黙知」として、ゲーム業界の人材に蓄積されています。メタバース企業がゲーム業界出身者を積極的に採用する理由の一つは、この実践的な運営ノウハウを獲得するためなのです。

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メタバースの活用領域

エンタメ・イベント

メタバースは、エンターテインメントとイベント領域で最も早く実用化が進んでいます。物理的な制約を超えた新しい体験の形が、クリエイターと参加者の双方に価値を提供しているからです。

音楽ライブは、メタバースエンタメの先駆的な成功事例です。2020年に『フォートナイト』で開催されたトラヴィス・スコットのバーチャルライブには、1,230万人が同時参加し、従来のコンサート会場では実現不可能な規模の体験が実現しました。巨大化するアーティスト、空間全体が変容する演出、重力を無視した視覚効果など、現実世界の物理法則に縛られない表現が可能になっています。

日本でも、アーティストの米津玄師や、人気VTuberグループを擁するホロライブなどがメタバース空間でのライブイベントを開催し、グローバルな観客にリーチしています。地理的な距離や会場のキャパシティという制約がなくなることで、アーティストのファンベース拡大にも貢献しています。

映画プロモーションやコラボレーションも活発です。映画の公開に合わせてメタバース内に関連ワールドを構築し、ユーザーが作品の世界観に没入できる体験を提供する事例が増えています。従来の広告と異なり、ユーザーが能動的に関与する形でのプロモーションが可能になっています。

eスポーツとの融合も注目されています。競技の観戦をメタバース空間で行うことで、観客同士の交流や、試合を様々な角度から自由に視聴する体験が実現しています。観戦者が単なる視聴者ではなく、コミュニティの一員として参加する新しい観戦体験が生まれています。

展示会やカンファレンスのバーチャル開催も定着しつつあります。COVID-19パンデミックをきっかけに加速したこの動きは、単なる代替手段を超えて、独自の価値を持つようになっています。移動コストの削減、時差を超えた参加、セッションの録画視聴など、物理イベントにはない利点が認識されています。

アート展示の新しい形も登場しています。物理空間では実現困難なインスタレーション、インタラクティブな作品体験、デジタルアートの販売など、アーティストの表現の幅が広がっています。NFTアートとメタバース展示を組み合わせることで、作品の所有と鑑賞を分離した新しいアート体験も生まれています。

教育・学習イベントへの応用も進んでいます。歴史的な場所の再現、科学実験のシミュレーション、語学学習での没入型体験など、教育効果を高める活用が広がっています。特に、通常はアクセスできない場所や危険な実験を安全に体験できる点が評価されています。

これらのエンタメ・イベント活用は、初期段階ではゲームプラットフォームを借りる形が多かったものの、独自のメタバース空間を構築する動きも出ています。ゲーム業界が培った「大勢を楽しませる」ノウハウが、メタバースエンタメの基盤を支えているのです。

企業・ブランド活用

企業やブランドによるメタバース活用は、マーケティング、顧客エンゲージメント、新しいビジネスモデルの創出という観点から急速に拡大しています。

ブランド体験の提供は、最も一般的な活用パターンです。

Nike、Gucci、Adidasなどのグローバルブランドは、メタバース内に独自のバーチャルストアを構築し、若年層との接点を創出しています。ユーザーは自分のアバターにブランドアイテムを着用させることで、現実世界での購入前に商品を「試着」したり、限定のデジタル資産(NFT)を入手したりする体験ができます。

バーチャル商品の販売も新しい収益源として注目されています。物理的な在庫を持たずにデジタルアイテムを販売するモデルは、限界費用が極めて低いため、非常に高い利益率が期待できます。一部の限定アイテムにおいては、二次流通価格を含め、バーチャル版の市場価値が実商品の販売価格を上回る逆転現象も確認されています。 すでにブランドにとって無視できないプロモーション効果と収益機会を生み出しており、デジタルと物理の商品を組み合わせた新しいビジネスの形が定着しつつあります。

企業のコミュニケーション空間としての活用も進んでいます。リモートワークの普及とともに、単なるビデオ会議ではなく、仮想オフィス空間でのコラボレーションが試みられています。3D空間での偶発的な出会いや、ホワイトボードを囲んでのブレインストーミングなど、物理オフィスの利点を再現する試みが行われています。

採用・人材育成の場としても活用されています。企業説明会をメタバース内で開催することで、地理的制約なく優秀な人材にリーチできます。また、新入社員研修や危険作業のトレーニングをVR環境で行うことで、安全かつ効果的な教育が可能になっています。

顧客データの収集と分析という観点でも価値があります。メタバース内でのユーザー行動は詳細にトラッキングできるため、どの商品に興味を示したか、どの展示に長く滞在したかなど、従来のWebサイト分析以上に豊富なインサイトが得られます。

イノベーションラボとしての活用も見られます。自動車メーカーが新車のデザインをメタバース内で公開し、ユーザーのフィードバックを開発に反映させる、製薬会社が分子構造を3D空間で視覚化して研究を加速させるなど、業務プロセス自体の変革につながる活用が進んでいます。

サステナビリティの文脈でも注目されています。物理的なイベントや店舗の代替としてメタバースを活用することで、移動や物流に伴うCO2排出を削減できます。環境意識の高い企業にとって、この側面は重要な訴求点となっています。

ただし、企業活用には課題もあります。多くのユーザーを惹きつけるコンテンツの企画力、継続的な投資の必要性、ROI測定の難しさなどが指摘されています。ここで重要になるのが、ゲーム業界の知見です。

 企業がメタバース領域で成果を上げるには、単に技術を導入するだけでなく、ゲーム業界が長年蓄積してきた「人を惹きつけ、継続させる」ノウハウを理解し、活用することが不可欠です。こうしたメタバース開発に求められる技術水準の指標となるのが、ゲーム業界最高峰の『AAAタイトル』開発基準です。求められる専門性や品質基準を知ることで、メタバース領域でも通用するスキルの"物差し"が手に入ります。

あわせて読みたい:AAAタイトル開発に関わるには?転職で求められるスキルを解説

まとめ

メタバースとゲーム業界の接続点は、技術基盤、運営ノウハウ、体験設計という三つの側面で深く結びついています。

技術面では、リアルタイム3Dレンダリング、大規模オンライン環境の構築、物理演算、ネットワーク最適化など、ゲーム開発で磨かれてきた技術がメタバースの土台を支えています。UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンが、メタバースプラットフォーム開発でも中核的な役割を果たしている事実が、この密接な関係を物語っています。

運営面では、長期的なサービス型ゲームで培われた知見が活きています。コンテンツアップデート戦略、コミュニティマネジメント、経済バランスの調整、データ分析など、デジタル空間を持続的に成長させるノウハウは、メタバースの運営にも不可欠です。

体験設計の観点では、ユーザーを惹きつけ、継続的にエンゲージさせるメカニズムがゲームとメタバースで共通しています。没入感の創出、ソーシャル機能の実装、達成感の提供など、「楽しい体験」を作る技術は両者に通底しています。

活用領域としては、エンターテインメント・イベント分野で音楽ライブやeスポーツ観戦など、物理的制約を超えた体験が実現しています。企業・ブランド活用では、マーケティング、顧客エンゲージメント、新しいビジネスモデルの創出など、多様な可能性が広がっています。

今後、メタバースは単独の技術領域というよりも、ゲーム、エンターテインメント、ビジネス、教育など、様々な分野が融合する場として発展していくでしょう。その中心には、常にゲーム業界が長年蓄積してきた技術と知見があります。

メタバースの将来性を考える上で重要なのは、これが単なる技術トレンドではなく、人々のデジタル体験の根本的な進化であるという認識です。インターネットが情報へのアクセス方法を変えたように、メタバースは人々の交流、創造、経済活動の形を変える可能性を秘めています。

ゲーム業界の専門家やこれから業界を目指す人にとって、メタバースは自身のスキルを活かせる広大なフィールドです。3D技術、ネットワークプログラミング、UX設計、コミュニティ運営など、ゲーム開発で培ったあらゆるスキルが、メタバースの構築と成長に貢献できます。

メタバースとゲームの境界線は今後さらに曖昧になり、両者の融合が加速していくでしょう。この変化の波を捉え、自身のキャリアに活かしていくことが、これからのデジタルクリエイターに求められています。技術の進化とともに、人々の体験を豊かにする新しい可能性を、ゲーム業界の知見とともに切り開いていく時代が到来しているのです。

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